まだ咲かぬ紫陽花の若い葉の上で小さな蝸牛が死んでいた。 生きているのかと触れようとしたとき、風が吹いて葉が揺れ、土の上に落ちた。 既に乾いていた。 束の間の緑の葉先に少しの間だけ生きた蝸牛。 なぜ死んだのかはわからない。 紫陽花が 蝸牛の骸 束の…
親指の爪ほどもない黒っぽい小さな生き物は詰め草の濃い緑に隠れてすぐには見つけられないが沸き上がるような五月の風に混じって近づいてくる柔らかな低音の羽音ははっきりとそして耳をくすぐるように幾つも聞こえている蜂たちが春が育てた初夏を集めにやっ…
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