今朝方、まだ明けやらぬうちに目が覚めて窓の外に朝焼けの空を見た。
「トトロの耳」はここから北側だ。
その方角の雲が赤くなるのは、南側に高い湿度があるせいだろうか。
この色づき方なら今日は雨にはならないのだろうと思う。
でも、夕方にはにわか雨ぐらいはあるかもしれない。
昨日は藝祭2018に行き、一通り絵と彫刻を眺め、あれこれ勝手な感想を頭の中に並べて歩きまわった。
蓄音機コンサートがあったので、聴きに行く。
大きな観音開きの共鳴箱を持つ立派な蓄音機だった。
実は私も祖父の代からのSPレコードをかなり所有しているのだが、LPはともかくSPをかける機会は殆ど無い。
以前はちゃんと音を立てていた蓄音機2台が今はもう無いからだ。
懐かしさも有って二度も聴きに行く。
ステレオ録音の時代ではない。そしてまた、CDなどデジタイズされて復元再生される音の時代でもない。
音の振動がアナログそのままに樹脂に刻み込まれているのを、針がなぞって音を立てる。
どこにもパルス状にデジタイズされた音源の硬さはない。
なんと甘い音だろうと思う。
ステレオだ、サラウンドだ、あるいは、バイノーラルだと、色々に自然に近づけようとする技術をあざ笑うように、アナロガスな音が豊かに空間を伝わってくる。
その翌朝に見た朝焼けと音の記憶が一緒になって、いろいろな「時間」が頭の中で輪廻する。
(2018/09/09)