オオアラセイトウは鎌倉の何処にもある。我が家の荒庭も例外ではない。
落ち来るや花の気鬱の酔い暫し
さざれ石の我先に行く春活火山
桜林をカーペンターズが駆けぬけてゆく
春宵や遣(や)らずの雨の一頻(しき)り
いつの間にひととせは過ぎまた花を見む
野の芥子の名残りの春や足元の鳩
ナガミヒナゲシは繁殖力が強く他の植物を抑えて広がる厄介な外来種なのだそうだ。
確かに一昨年は数本だったのに、今年は何十本と咲き、更に周辺にも飛び火している。
しかし、こうやって伸び上がって咲いている姿は美しい。
強靭さと可憐さのものぐるしき融合。
美しき侵略者とでも呼ぶべきなのか。
早朝の光と影の織りなす密かな空間に似合ってしまう姿。
こちらはシラユキゲシ。
最初に一株植えただけだったのが、ハナミズキの周囲に繁茂するようになった。
クローバーも盛り上がるように増えている。
野の庭の様相は次第に強まっている。
濃い緑の。
この光景を来年は見ることがないのかもしれない。
無策無方針な観光立国のおかげで鎌倉は人の静かに暮らせる場所ではなくなりつつあると私は確信する。
(2019/04/20)