鎌倉ヤマガラ日記

鳥の話はあれども野鳥観察日記ではない似て非なるもの

窓辺の実験室5月11日 aspect report

季節が春らしくなったかと思えば、もう夏めいてきて、今日は光化学スモッグ注意報。

季節の変わり目でもあるし、今までの実験結果の一部(一側面)をまとめておく。

下の図は、2月12日から5月10日までの、総キーつつき数と赤色LED側へのキーつつきの%を示す。

含まれている個体数は一定ではなく、またほとんどエラーしない個体も数羽いるのだが、そうでない(ちょっとセッカチな、そして、バーストしがちな)鳥もあって、全体として100%になるのは期待していない。

そのうち成績の悪い鳥は別の場所を探すかもしれない、とか、いろいろな鳥(とそれらによる色々なデータ)が混ざっている状態でどういう統計ができるかにも関心があるので、敢えてそれ以上の制限・拘束・条件の厳格化はしない方針で進んでいる(と言ってもいろいろ条件は改善はしている)。

 

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1)上のグラフWで弁別(赤色LEDの点滅している側のキーつつきでしかフィーダが開かない)を開始、下のグラフの黄色で示すように2〜3週間かけて正答率が増加し、青色で示した安定期に入る。

2)WからXあたりまで、総キーつつき数が増減をしているが、全体の正答率は安定している。

総合キーつつき数が増減を繰り返しているのは、参加する鳥数が日によって異なることや、その他の条件(強風や強い雨などの天候その他)による変動であると考えられるが、実はまだここでは書いていない実験要因もあるので、その影響も否定しない。

3)Xで示した頃から総キーつつき数が徐々に減少し始めるが、これは周辺が春めいてきて、冬の間にはなかった木の実や昆虫類が入手できるようになってきたためであると思われ、それが顕著になったのは4月下旬から5月連休にかけてであり、それがYおよびY'で示してある(来訪者ゼロを記録した!)。

4)おそらくこれで、冬には多くの鳥が来て賑わった窓辺の実験室も休業体勢になるかなと考えていたが、それがどの程度続くのか、あるいは季節との関係はどのようなものなのだろうかという点を知っておきたいと思い、来訪者なしでも実験パネルはオープンすることにしていた。

5)そうしたところ、数日たってヤマガラが1羽やってきて、翌々日には2羽に増えた。

町中にも生存圏があるシジュウカラは全く戻ってきていないが、山の周辺を好むヤマガラは上の2羽以外にも1〜2羽来ている様子(ただし、長居しないようだ)。

 

今後、この状況がどう変わっていくのか楽しみだ。

 

さて、その5月10日のビデオクリップを以下に示す(左は鳥や装置を上から見た映像で右は前から見た映像である)。

2羽のヤマガラは特に争う様子もなく実験パネルを共有しているようだ。

ビデオの最初のほうでクラクション音がするが、これは実験装置が出している音で、エラーのキーつつきが起きると鳴るようになっていて、エラーから3ないし4秒ほど待たないとどれほどキーをつついてもフィーダは開かず、また、開く前につつけばつつくほどこの「禁止期間」は延長する。

それでもこのクリップにあるように、エラーをするとヤマガラは一旦パネルボックスの外に出て、ややあってから戻ってくるというタイミング合わせのストラテジーをとるようになった。

これは、いろいろ頷けるところがある行動なので、またいずれより詳しく検討する予定だ。

 

因みに、LEDの色は3色あるが、

赤)は点滅して正答側を示し、

青)は、(ほとんど白っぽく見えるが)、正答側キーつつきが起きると1秒ほど点灯し、

緑)は、フィーダの蓋が開いている間だけ点灯する

ようになっている(現在必ずしも必要でない部分もあるが、今後のために設定)。

 


      ヤマガラは学んだ wild birds learned LED discrimination

 

5月10日は雨がかなり降っていて(午後は靄か霧)、小さい方のヤマガラはずぶ濡れになりながら窓辺にやってきていた。

生きるということは理屈抜きで大変なことなのだと今更ながらに思ったものである。

 

(2017/05/12)

昨日はなぜか浜松町まで、かの『ライオンキング』を見に行き、ビビッドな、そして、ある意味、シュールで幻想的な動物世界に連れ込まれた。

舞台芸術・衣装の凄さは言わずもがなだが、特に印象に残るのはラフィキを演じる井上智映子の歌で、安定感のある伸びやかさがありながら深く染みこむような声が素晴らしかった。