さほど慶賀すべきとも感じていない新年ももう一月半ばを過ぎた。
そういう心持ちでいても自然が送ってくれる小さなメッセージに心和む。
教えてくれた絵描きの卵にも感謝したいと思った。
教えられなければ、気づかずに過ぎてしまった「ただ一輪」の時間。
気づかなければ気づかずに過ぎていくことが多いとは、自然について言うことか、我々の人生について言うことか。
日々刻々、気づいていることと気づいていないことの境目が、我々の人生、あるいは、狭めて言えば、我らの『意識』なのだと改めて思う。
数多用意された蕾の中であの一輪が最初に綻んだ。
それには理由らしい理由があるものかどうか分からないが、それでもそれを知りたいと思うのは、あの一輪の素早さと孤独とを思うからだろう。
高枝にただ一輪の待春譜
(2018/01/17)