鎌倉ヤマガラ日記

鳥の話はあれども野鳥観察日記ではない似て非なるもの

種を聞き分けるヤマガラ

 

前にヤマガラがヒマワリの種を嘴にくわえて首を前後に動かし音を聞いて種を選んでいるようだということを書いた。

もしかしたら知られている事実なのかもしれないと軽くネットで検索してみたが、それらしいものを見つけることができなかった。

 

 

ヒマワリの種は、小粒だが栄養価が高いと宣伝されているクロヒマワリとごく普通の黄色いヒマワリが咲くだろう種の両方を使っている。
印象として、クロヒマワリは小粒のせいもあってか充実感があるが、普通のヒマワリの種は(販売者にもよるかもしれないが)スカスカのものが結構混じっているようだ。
開花から種のできるまでの水分やその他の条件で立派な種として出来上がる率が低いのだろうか。
おそらくヤマガラはそのことを知っているからこそ種を選ぶという行動をするのだろう。

 


A Varied Tit (Parus varius) Selecting Seeds to Eat by Listening 種を聞き分けるヤマガラ

 

いくつかの例を一本のビデオにして何度か眺めて見た結果、こんなことなのかなと思ったことが幾つか出てきた。

 

1)嘴でくわえるまでもなく触りもしない種がある(どこかに孔が開いていて中が空だとわかるのか、色かもしれない)

2)くわえてみて非常に軽いものは振ってみることもせずにポイ捨てする(捨てられたものを拾って確認してみた)

3)3,4回振ってすぐ捨てる種と、20回は振ってから捨てる種もある(判断がつかない、つきにくい場合があるようだ)

4)やはり、例の小さな音、ttttttというような感じの音(あるいは、軽快なクリック音)で鳴る種を持ち去って食べる傾向が強いようだ

5)しかし、警戒心が強い場合には、ゆっくり振り続けて確認することはせずに持ち去ってしまい、「ハズレ」ならすぐに餌台にまたやってくるという戦略をとっているのかもしれない。

6)大きさや行動様式から少なくとも4羽のヤマガラが群れをなしてやってくる(シジュウカラ3〜4羽と混群)のだが、上のような行動は、個々の鳥によって少し異なっているようで、
 6a)他の鳥がポイ捨てしたものを拾って飛び去る者がいる
 6b)よく鳴らしてみる鳥と比較的すぐ持ち去る鳥がいるが、飛来の仕方などから、この差は警戒心と多少とも関係があるようだ

7)2〜3羽のヤマガラは私が掌に載せた種を食べるために私の小指にとまることがあるが、この場合、数回以上種を振る行動は1羽でしか確認できていない(その1羽は最初に私の掌にやってきたまだ若い鳥だと思う)

と、ここまで来ると、こういう種の選択という行動の位置づけが少しだけ分かって来たような気がしてくるのだが。

それにしても、あの軽く殻の中で鳴っているのは何の部分なのだろう。
そこが知りたいものだと思うのだが、それには、種をかなりの数「解剖」してみないといけないだろうし、そうやって仮に種の「質」の差がわかったとして、そのどれを選んでいるのかを知ることにはならない。
選んで飛び去るのを途中で捕まえて「吐かせる」というような愚劣な手を使うことは絶対に駄目だし、できそうもない。
こういうことにも、きっと動物学者や鳥類研究者にはそれなりのKnowHowがあるのだろうと思うが、残念ながら私は知らない。

さて、どうするか。
当面、(A)捨てられた種をなるべく多く回収して「解剖」して質を確かめることと、
(B)手元にある種(選ばれるであろうものと選ばれないであろうもの両方を含む)を相当数「解剖」して、内容物の重さの分布を得ること、
(C)そしてその分布と捨てられた種の分布を比較する、といった手順が必要だろうか。

「捨てられた種」と一言で言うが、その中にはその場で食べて殻だけ捨てたものも含まれる可能性が高いし(そこで私が選別しなければならなくなる)、また、手元にある種からその内容についての正しい情報を得るためには(まともな平均値を得るには)どのくらいの個数の種を調べなくてはならないか検討も、いや、見当もつかないから、これは結構大変そうだ。

さて、どうするか。


(2016/01/07) 当然ながら七草粥に向日葵の種は入っていない

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 これには実は幾つもの後日談があり、一つはそもそもの「鳴らして選ぶ」ことに疑いを持つ内容だ(以下)。

 

 

明確に分かってから書けばいいということなのかもしれないが、私としては「わかった結果」より「考え検討している過程」のほうが楽しいのであり、それは変えがたく申し訳なし。

(2017/01/23)