前にヤマガラがひまわりの種をくわえて振り、音を聞いて良い種を選んでいるのではないかということを書いた。
そのとき、こうしてみたらどうだろうかと思ったことの一つが下のようなことだった。
つまり餌を並べて選んでもらい選好を知るという単純発想(ただし、これは、直接的に上の問題にアプローチするものではない)。
ここでは、「普通の」ヒマワリの種(大きめで白い線が入っている)と、脂肪を含め栄養価が高いというクロヒマワリの種(小さくて黒い)を並べて置いておいて、どれから消費されるかをみればいい、のではないかということだ。
その方式を重さか比重の違う種でやってみればヤマガラの種選好の仕方がわかるのではないか、と。
むろん、これだって、配置をランダムするとかしないとか実験計画法みたいな話にならないわけではなく面倒で、しかも問題そのものにダイレクトにアプローチしていないのだが。
仮にやってみたところ、ヤマガラは、意外にも他の種を蹴散らすことなく、他の種に触れることもなく、ポコポコと種を一個一個拾っていくらしいことがわかった。
「へぇ、結構丁寧なのだ!」と感じいったが、そうなると、配置計画法をあれこれ考える必要が生じてくるし、重さとかを測った種にその結果をラベリングすることを考えて頭が痛くなった。
で、面倒になってそのままになっていたのだが。
ところで、そもそもヒマワリの種の中身がどうのこうのと書きながら、実は中身を見たことがなかった。
脱稃(だっぷ)したヒマワリの種は下の写真の上のもの、これはこれで、こういう形で販売されているのだと最近知った。
殻(籾殻?)と中身を見比べていて、あることに気づいて愕然となった。
殻付きの種は本当に振ったら音がするのだろうか?!
で、やってみたのだが、全然音のするものがない。
前にもちょっとだけ試しに音を鳴らそうとして鳴らすことができなかったのだが、それは振り方がヤマガラのように小刻みで素早くないからだろうと思って、それ以上トライすることをしなかった。
しかし、この写真の殻と中身を見ながら、「どうやってヒマワリの種は脱稃(だっぷ)するのか」と考え(何しろ中身だけ売っているのだから機械的に脱稃する方法があるはず)、人差し指と親指で種を摘んでぐっと押しつぶそうとしたとき、違うことが思い浮かんだのだ。
もしかすると、ヤマガラは種をくわえて振っているのではなく(そう見えはするのだが)、落とさないように注意しながら、嘴を素早く開け閉めして、の硬さ(潰れやすさ)を調べていたのではないのか。
その高速で小幅な開け閉めで、嘴が種に当たって音を立てているのかもしれない!そう思ったのだ。
そして、それを否定することのできる証拠は今のところ無く、逆に振って種を鳴らすのではない証拠のほうが見つかりそうだった。
私が「鳴る種」を見つけられずにいることもそうなら、そもそも「鳴らしてみて持ち去る種」と「鳴らしてみて(確かに『鳴って』いるように思えるが)、それでも捨て去る種」があることも証拠になりそうだった。
つまり、種が鳴るかどうか、「種の音」は、良い種の証拠ではなく、良い種を探す方法(カタカタと嘴を開け閉めする行動)の副産物に過ぎなかったのではないか、そう思ったのだった。
しかし、それを確認するためには、よほど高速度撮影をし、音の方も「音ズレ」しないできちんとその高速度映像に同期して居なければならないが、そんな高級カメラを所有していない身にはどうすることもできないではないか。
(iPhoneをはじめ最近のスマートフォンのカメラはギター弦の振動まで捉えるから、それができるかもしれないが、鳥にそうとう接近しないとできないだろう。)
本当に世の中、知らないことばかりだとまたまた感じ入る。さて、どうするか。
(2017/01/21) 因みに脱穀・脱稃という語をヒマワリの種について使うかどうかはよくわからないが、こういう語にありがちなこととして、脱穀=脱穀+脱稃というふうに語用拡張されて使われるようであり、狭義では脱稃が殻を除く作業を指す。さらに、穀は穂などから外した籾殻付きの部分を指す、そうである。