鎌倉ヤマガラ日記

鳥の話はあれども野鳥観察日記ではない似て非なるもの

小さくてランダムな麦畑

「野鳥の餌」の不思議と言うか当然のことなのだが驚かされると言うか、なんとそれは麦だった。

しばらく前からバードフィーダーを吊り下げた木の周囲に小さな稲の茎や葉のようなものが伸びてきているのに気づいていて、それが実に見事に木を取り囲んでいるので、鳥がこぼした「野鳥の餌」(雑穀)の中の何かなのだろうとは考えていたのだが、麦だとは!

どの種類の麦なのか私にはわからないのだが、少なくとも三〜四十本、いやもっと生えている。

写真にはそれだけでなくてエンドウ豆の花らしきものまである。
エンドウの蔓に巻きつかれているようにも見える。
エンドウ麦にはならないだろうが、この光景、メンデルが見たらどう思うだろう。

 

f:id:daymonthtraveler:20170421131749j:plain

 

菜の花とツーショットになっているのを見れば麦であることに間違いはないだろうが、まだ育ちかけのようで、素人の私にはいよいよ種がわからない。

 

       f:id:daymonthtraveler:20170421133513j:plain

 

それにしても!

雑穀ミックスになっているので色々な種が入っていることはわかりきったことなのだが、こういうことが起こるとは予想していなかった。

菜の花にエンドウ豆に麦!

まだ違うものが生えてきている可能性もあるだろう。

「雑穀畑」というものがあるのかどうか知らないが、おそらくそういうランダムな種蒔きは農業的にはしないことではないかと思う。

お互いに邪魔しあう可能性もあるだろうし、収穫するときだって刈り取ってから選別するのでは困るだろうから、種(しゅ)は選んで一つにして蒔くはずだ。

しかし、そういう集約性は古代には考えられておらず、昨年食べた物をあれこれ混ぜて蒔いてしまっても、それらは皆食べられるものになるだろうから、特に問題ではなかったかもしれない。

 

ランダムな農業!

興味深いと思う。

人間が作為的に選択して集約性を高めて来て、そしてそれを売るなりして役割、仕事となってきたから「業」という字が付いたのだとしたら、ランダムな種蒔きは農「業」以前の営みだということになるだろう。

生活の中の物あるいは事のランダムネスということについていずれしっかりと書きたいと私は思っているのだが、これはその良い入り口かもしれない。

 

 ランダムに蒔かれた種だとしても、下の写真のように寄り集まって揃って天に向かって伸びれば、そこに「まとまり」が感じられ、ランダムという言葉の印象は弱まり、偶然生じたことであるよりは少しは「意図された」あるいは「共通の理由がある」もののように感じられてしまう。

 

 f:id:daymonthtraveler:20170421135627j:plain

 

もちろん、他の植物と入り混じっているのだが、少なくとも十本ほどでも「同じ種(しゅ)」が近い場所で育っていれば、そのまとまりだけに注意が行くものだ。

そうしてそこには「畑」が・・・・

他種がより多く混じってくれば、その印象は変わっていくのだろうが、どういうレベルのまじり方になれば「ランダム」「雑然」「無造作」という印象に戻るのだろうか。

分散の仕方がここでも重要なのは敢えて言うまでもないだろう。

ただし、そこには土壌・日照条件・水分といった「環境要因」ももちろん関係するわけで、もしかしたらランダムに蒔かれた種の内そこに適したもの(この場合は麦)だけが成長し、ひとまとまりを形成したのかもしれない。

 

f:id:daymonthtraveler:20170421135801j:plain

 

そこには何らかの「統計学」の余地があるはずだ。 

現代推計統計学の父とも言われるフィッシャーが農業試験場の研究員だったことは何ら驚くべきことではない。

確率と統計は生物の成長や進化・遺伝と深く繋がっている。

 

ランダムにばら撒かれた種から伸び上がる花と茎と葉の向こうに見えるものは何だろう?

 

因みに上のようなランダム畑を産み出すことになった野鳥の餌は次の二種類で、含まれているものは両方合わせて、以下の通り(名称は表記されたもののまま)。

マイロ、オーツ、トウモロコシ、アワ、キビ、カナリアシード、ヒエ、赤アワ、小粒ヒマワリ、大麦、小麦、ムキオーツ麦、サフラワ、青米。

 

       

アラタ ワンバード アミーゴ野鳥のまき餌 黒瀬ペットフード 自然派宣言 野鳥ミックス 

 

当初「まき餌」を使っていたが、木の枝から吊った自作バードフィーダには鳩などの大きめの鳥はとまれないので中のトウモロコシがフィーダに残る傾向にあり、もったいないので、トウモロコシが入っておらず代わりにヒマワリの種が入っている「ミックス」をときどき使うようにしていたのだが、ヒマワリを採餌する窓辺実験を始めてからは、「撒き餌」にヒマワリの種が含まれているとマイナスの影響(実験パネルに来なくてもヒマワリの種が容易に手に入る)があるので、使用を再考せざるを得なくなった。

より多く麦を含んでいるのは「ミックス」の方だが、使用頻度は「まき餌」の5〜10分の1くらいで、使用時期も限られている。

それにも関わらず、「麦畑」が生じたのは、麦を鳥たちが食べこぼしやすかったということなのだろうか。

他にも要因は色々ありそうだと思う。

いっそのこと、「撒き餌」を鳥にではなく実験的撒いて適当に土を掛けておいてみようか。

そうしたら、「え、こんなものがここに?!」という発見の多いランダムな畑の推移を見ることができるのかもしれない。

 

それにしてもエンドウ豆はいったい何処からやってきたのだろう?

 

 

(2017/04/21)