ケシ科シラユキゲシ属の耐寒性多年草だが、最初は一株だけ購入して植えたものだった。
ほどなく清楚で可憐な白い花を幾つか咲かせ、やがて花期が終わった。
この時点で「これだけ可憐な花なのだから、長持ちはしないのかもしれない」と半ば悲観的になりながら花の終わった葉の広がるのを眺めていた。
しかし、盛夏から秋にかけて葉をもたげる茎は増え、意外に強い植物であると思わせる。
それから2年、もう今年の花期は終わったが、シラユキゲシは雑木とハナミズキの根本に繁茂している。
後から調べてわかったことだが、この植物もまた地下茎で繁殖するもので、それゆえ強い。
しかも、半日陰である程度以上の湿度を好む植物だというので、適地を得たということなのだろう。
周囲はシロツメクサに囲まれている。
どちらかが勝つか、それとも、ある水準で棲み分けが成立するのかを眺めている。
この北側の庭は、いわば実験場になりつつあるのかもしれない。
北の家を解体した跡地には、ゲンゲとシロツメクサを半々ぐらいに播いた。
おそらく今までの経験では、少なくともこの地ではシロツメクサのほうが強いだろう。
それでも、ゲンゲの場所がどこかにできるのではないかと、半ば期待しながら、種々(くさぐさ)の戦争を眺める。
こちらのカラーは白い湿地性カラーに比べると小ぶりの仏炎苞だが、もともとプランター植えしてあったものを、この変動期に土に下ろしたものだ。
半ば「捨てる」思いで投げ出したと言ってもいい。
そういう花だが、よく咲いた。
根本に幾つも鈴なりになっている球根を見ると、それなりに強い花なのだろうと思う。
庭。
庭園らしい庭ではない「野のような庭」、これはけっこう困難な目標なのだと今頃になってわかってきた。
植物たちの勢力争いに任せきり、人手を入れなければ、おそらく、このような場所では、雑草の跋扈する荒れ地になる。
そうさせずに、しかし、過剰に手を入れ作りこまずに、好む花、あるいは、望ましい果樹が生育する庭を育てること。
色々とすべきことがある中で、果たしてそんなことが私にできるのだろうか。
こうして、庭の植物のことを書きながら、私は一所懸命に(と言うか、苦闘して)庭に、そして庭の周辺に起こった大きな出来事を少しずつ語り記録しようとしている。
おそらく、その大きな出来事についてまで読み込んでくれる人はいないのだろうと考える。
それでも、今回は、書き留めることをやめることはできない。
(2018/06/22)